18日の日曜日は「花時間」さんの取材を受けました。
県と花時間さんとの企画らしく、スイトピーやラナンキュラス、デルフィニューム、バラなどの宮崎のメイン花の取材の中でわざわざ私のところまで足を運んでくださいました。ありがたいことです。記事は来年になるそうです。
19日(月曜日)は急遽、片山さんのハウスへ。お届けものがあり、またとっとり花回廊でパンジー・ビオラ展用の品種選び、宮崎の作品展の株選びを行ってきました。
ブログでもご存知のとおり、とにかく忙しい片山さん。当日は「さつま黒すみれ」の企画の発送に追われていらっしゃいました。
1つのケースの中に大小さまざまな黒のパンジー・ビオラ。メジャーな黒の流通品種と言えば‘ブラックオパール’程度しかない中でこんなにもバラエティーがあるので皆さんびっくりされること間違いなし。いやー、楽しい企画です。お勧めですよ、これ!
さて、作品展用に育苗をお願いしている平塚弘子さん作出の‘ドリームワンダー’が咲き始めました。
花も癖がある?分、株も少々癖がある。正直、これを作りこなせるのは片山さんしかいないと私は思っています。
‘ドリームワンダー・ローズタイプ’
見事に“焼け”ています。寒い間は花立ちが遅いですが、暖かくなるに従って花もどんどん咲いてきます。
系統保存中に分離してきた藤色のタイプ。
ドリームワンダーには3色ありますが、これらの相互交配もやっていますので色の分化が始まっています。
‘ドリームワンダー・ブルータイプ’
何といっても私はこのブルータイプが一番好きです。私のイメージではこの花の色使いは尾形光琳などの屏風絵の色使いと同じです。紺色に金、もしくは銀の色使いです。
光が当たると本当に焼けた部分がきらきらとメタリックに輝きます。
さて、品種としての完成度が高まると性質的に弱くなるのはある意味パンジー・ビオラの宿命です。
極めて特異な特徴の品種であるため、維持するためは今後何らかの策を取っていかねばなりません。
そこで昨年はこの焼けの遺伝性を調べる目的と、バリエーションを目指して‘ペニー・レッドブロッチ’との交配を試みました。
そのF1の結果ですが、残念ながら焼けは出現しませんでした。つまり焼けの遺伝性は劣性と言うことになります。
で、ここであきらめてはいけません。大事なのはF2以降で分離するかどうかです。
(ドリームワンダー・ブルー×ペニー・レッドブロッチ)F2
F2の結果は、パープル~ブルーの大ブロッチ(及び覆輪)が出現、F1と同じようなものばかりでした。またまた残念、焼けは分離しないと思っていたら・・・、
出、出ましたっ!!焼けがわずかな数ながら出ました。
これって重要です。メンデルの法則、おそらく劣性のホモです。
遺伝性が分かれば再現も可能です。
ドリームワンダーが1株あればそれに他の品種を交配することでこの形質が維持できます。新しい血が入ることによって性質も丈夫になります(雑種強勢)。
また、バリエーションを増やすことも可能です。交配でどんな色も可能と言うことになります。
左:ドリームワンダー、右:(ドリームワンダー・ブルー×ペニー・レッドブロッチ)F2
画像では同じ様に見えますが、交配種は親よりも小さめです。
ところで、この品種は流通はほぼありません。極めてレアな品種。そのため流通できるように作りやすくように改良も進めなくてはなりません。課題はいっぱいですが、道は開かれました。
今回、とっとり花回廊さんでの展示(1月28~30日)が決まりました。お近くの方で実物をご覧になりたい方はお出かけください。実際に見て頂かないとこの花の魅力は分かりませんので。
もちろん、宮崎での作品展では展示をいたします(日程は決まり次第お知らせします)。こちらもよろしくお願いします。