ここ数年、ずっと追いかけている色目があります。
かと言ってなんせ気の多い性格、そればかりに集中している訳ではないので遅々としか進みませんが、ようやく今年満足のいくものが出てきました。今年は寒いせいか色がとてもいい具合にのっています。
じゃじゃ~ん、それがこの系統です。
‘黒潮’
ブルーの覆輪のパンジーです。これはブロッチ部分が上弁にも広がって覆輪となっています。
覆輪には外側の縁部分が色が変わる「縁(外)覆輪」と、ブロッチが広がった「ブロッチ(内)覆輪」があります。
縁覆輪の品種は「虹色スミレ」、‘ブルーソワール’などで、この覆輪は普通の品種の中でもよく出現します。出易い半面、覆輪の安定が難しく細くなったり太くなったりします。
ブロッチ覆輪の品種は有名なところでは‘ブルニング’、‘リップリングウオーター’などですが現在はほとんど出回っておりません。こちらの方が作りだすのは難しいです。だから、種苗会社は手を出しません。
でも、はるかに縁覆輪よりも美しい!
思えば、写真で見た鈴木章先生の銘花‘うずしお’の再現を試みようとしたのが始まり。
なんせすでに実物はない。おまけに交配記録もない。手探り状態での開始でした。
ブルーブロッチのパンジーの上弁にブロッチを選抜で広げた物に‘シャロンジャイアント’のブルーピコティーの個体を交配した後代同士を交配し、選抜して・・・、これを繰り返して今に至っています。
この選抜途中に‘ブルニング’との交配で‘満天’が分離し、平塚さんへ送った‘満天’からあの‘ドリームワンダー’が出来たのですから、いかに長い年月を掛けているかでしょう。
気合いを入れればもう少しは早く出来たでしょうが、まあ品種それぞれです。
以下は、この黒潮のOFF個体。
覆輪の花を親株としてもこれらがまだまだ分離してきます。色目は出ましたが、固定化となるとさらに時間がかりそうですね。
外れはしましたが、ベインはベインでいいものです。こちらはこちらで選抜を重ねていますが、これもまた気合いを入れていないので完成には何年かかることでしょうか(笑)。
とにかくこの品種はずっと手を掛け続けていきたい。出来なくなった時が完成でしょう。それでいいんです。
黒潮は作品展で展示しますので実物をご覧になってください。重なった年数が分かってもらえるかな・・・(笑)。