晴れたかと思ったら又雨の予報。
正直、雨はもう要りません。前回で大雨でじゅぶんに埃は落ちましたし、カラカラも潤いました。
これ以上降ってもらうと、パンジー・ビオラだけでなく雑草が伸び放題、花にカビも出始め、おまけに交配も進まないときたもんだ(笑)。
と、嘆いても仕方がないので、屋内で記録の整理をやることにしましょう。何事もポジティブにです。
さて、また親株が還ってきました。今回は宮崎市の「ウィズグリーン」の黒木正和さんからです。
「(苗)いっぱいで大変そうなんですが、(還して)大丈夫ですか?」と心配されたのですが、「大丈夫です!」と言ってしまったのでした(笑)。
言った以上は大丈夫ですから、ご安心を!
一応、ご依頼を受けて手掛けたものですから、やっぱりそれは気になりますよ~。
で、返ってきた親株がこちら!
‘プラリネショコラ’
「一粒のチョコレート」と言う意味です。
と、なればどのようなものを依頼されたのかわかりますね?そう、「チョコレート色」のビオラです。
もとになった交配は‘月あかり’בビターチョコレート’。
‘月あかり’トーホクさんの品種でおそらくもう出回っていないかもしれません。とても好きな色合いでした!
‘ビターチョコレート’は日南市の村富史昭さんの品種ですが、鹿児島の片山清美さんへ譲渡されて‘ノーティベア’としてわずかに生産されています。
どちらもブラックを帯びたブラウンのシェードで、完全な狙いのベタな組み合わせです。
ひとまずはこれで試行交配。
開花を見てもらったのですが、「う~ん、これじゃないですね・・・。もっとチョコレート色にしてほしい」と返されました(笑)。
そこで、色の濃いものの選抜、及び再度ブラックやブラウンの別の品種・系統を掛け直したのが今回です。
何とか黒木さんのイメージに近いものになったようでそれが返ってきた訳です。ほっと一息ですよ(笑)。
この品種、ブラックの強いものから、黄色が強いものまでの色幅となります。
黄色が強いものの中にはグリーニッシュのものもあります。
‘月あかり’よりも2回りぐらい小さめ。花色は月あかりにそっくりです。
♪ちょっと待って、ちょっと待ってお兄さん。そんなことでええですのん?はいはい、これでええんです!
このお話をいただいた時にすぐに浮かんだのが「月あかり」と「ビターチョコレート」の2種を使うことでした。
「月あかり」という名前と花を見れば、これは雲一つない夜空に浮かんだ満月ではなくて、薄雲の夜空にかかる満月です。
その雲間からさす月あかり。いわゆる「月に叢雲」の景色です。
かたや「ビターチョコレート」はその名のとおり、チョコレート色の丸弁小輪のビオラ。4年前の作品展で展示したところ、注目を浴びてバイヤーの方からほしいとの声もありました。
その時のブログ⇒http://ameblo.jp/pansy-tane/entry-10798151633.html
そういう目的もある展示会ですし、傍から見れば「これがほしい」と言われているわけですから作ればいいんじゃないかと思うんですが、何故か村富さんは固辞。なんとか存えている品種となってしまいました。
それ自体が残らなければその血筋をだけでも残したい・・・。
そんな時に来たのが「チョコレート色」のビオラの育成だったのです。もう、これは使うしかないですよね!
結果は月に叢雲の景色をチョコレートと混ぜて一粒大に。そして、化粧箱に一つずつきれいに並べることができたようです。
ただ、この色合いだけではソービター(とても苦い)。ご依頼人もそう思われたらしく、ここから出た変異株も持ってこられました(笑)。
何と表現していいかわからない色目。
ライトブルーイエローフェイスベイン、一部グリーニッシュ?
これもまた表現が難しい。
ブラウンフェイスベインビーコン?ブルーピコティもあり。
イエローブルーピコティベイン、やや丸弁。ブラウンベイン、HF(ホースフェイス)
ゴールドっぽいブラウンでちょっと他では見ない花です。
ベインはどこから来たのでしょうね?もしかすると月あかりかもしれません。
グリーニッシュブラウンの抱え咲き傾向。この色で抱え咲きはまだありません。期待大!!
何とか化粧箱に並べられるバリエーションを増やせそうです。もっと、女性の好みも取り入れた方がいいかもしれません。
チョコレート、チョコレートと書いていると、なんか、ブリーダーではなくてパテェシエになった気分です。(笑)
にわかパテェシエですが、頑張りますっ!!