いつもはこの時期には交配分の花が咲き始めているのですが、今年は九州の方は早めに寒くなってなかなか花が咲いてきません。
早めに選抜を掛けて、返ってくる親株のスペースを確保しなきゃいけないんですがそれができません。困ったもんです(苦笑)。
とにかく外に出してスペースを空けているところです。
私の方はまだまだなんですが、種子配布分やご自分の交配の開花報告は続々と届いております。
タイミングなどで全ての方をご紹介できないのが申し訳ありません。
その中で今回は東京のMさんのご紹介します。なんか変な?花が咲いているんですよ。
ねこみみ((=^・^=)耳)
可愛らしいネーミングですね。ご自身の交配みたいです。
この特徴を次代に引き継ぐにはどうしたらいいかとのご質問がありましたが、まずは「セルフ(自家受粉)」です。
私流の解釈ですが、交配には2種類があります。
1.その特徴をより引きだす交配 ⇒ 自家受粉(セルフ)
2.変異を広げる交配 ⇒ 他家受粉
で、この場合は1株、その株しかありませんのでセルフで交配を行いその子供の中からその特徴を引き継いだものを拾っていきます。
これを繰り返し、大体3年(世代)を重ねると固定化できるものか、そうでないものかの判断が付くようになります。
育種とは時間がかかるもの。その結果が出て次に進もうとすると時間がかかります。そこで、セルフと同時進行で変異を広げる交配(他家受粉)を行っていきます。
で、この場合は「ねこみみ」が目的ですので、それに近い形状をもった他の品種(系統)を花粉親として選びます。
また、その子供たちから目指す特徴を拾い上げてそれらをまた相互に交配して・・・。
この2つの交配を状況に応じて使い分けていきます。数系統持っていることでその確率は高くなっていく訳です。
多弁咲き
多弁咲きの場合は何度も書いていますが、2番目以降の花がどうかです。
以降もこの花型が出現するかどうかで、その特徴が安定しているかどうか分かります。
安定しているようであれば、遺伝する可能性は高くなります。
ただ、最終的に遺伝性があるかどうかは種を播いてみないことには分かりません。いかにその可能性の高い個体を見つけるかがポイントになってきます。
バラ咲き(ローズフォルム)
花だけ見るとまるでプリムラジュリアンの薔薇咲きですね。
今のところ6輪中4輪がこの様な咲き方とのこと。特徴が安定しているようです。
手元ではこれまでに花弁が巻くような個体はわずかに出現したことがありますが、ここまできれいなフォルムは初めて見ました。
もしかするとガクが大きく(切れていない)、開花を阻止しているのかもしれませんので確認してみてください。
プリムラの薔薇咲きの出現の初めは、花弁の開きが弱いものからです。パンジーもこんな変化から新たな花型の進化が始まるかもしれません。
これもまずはセルフ。
他にこの様な品種がありません(しいて言えば「マイビオラ(プチロール)」は使えるかも)ので、セルフで採れるだけ種採って出来るだけ多くの子供を見た方がいいと思います。
この特徴が遺伝するかどうかは記録がありませんので、とにかくやってみなければわかりません。
で、またまた珍品が!
2頭咲き
これは購入されたもののようです。
この様な形状は、普通は出荷の段階ではじかれるものですがそれが残っていたのが不思議。また、それを拾い上げられるのがご縁ですね!
ほぼ、この特徴は安定してるとのことです。
きれいかどうかの判断は別ですが、貴重な遺伝子。これがどのように遺伝し変化するのかは種採って播いてみなければ分かりません。
この様にどうしていいか分からないものや気になるものは、判断を次代に任せてもいいんです。むしろそうして方がいい。
分からないからやめるんじゃなくて、分からないから先に進む。何事もそれが大事だと思います。
それにしてもMさん。凄いです。
人が花を選ぶんじゃない。花が人を選ぶんです。園芸始めて2年目とのことですが、みごとMさん、パンジー・ビオラに選ばれましたね。
パンジー・ビオラがあなたに何かを託したいんです。どうぞ、それに応えてあげてください。
他の方の開花状況はこちら
気ままに花遊び ⇒ http://ameblo.jp/hanasuki-piggy/
柴犬“もえ”とガーデニング日記 ⇒ http://ameblo.jp/yamamoe555/