昨日は立冬というのに夏日、ヤブ蚊もブンブン飛んでいる宮崎です。と、今日は山沿いには霜注意報も出ています。まあ、極端!
そんな極端な気候でも植物は時期が来れば花を咲かせる。本当に植物の力はすごいです!
さて、ビオラ育種の大先輩の江原伸さんのビオラたちがお店に入荷しました。
今季から生産場所の変更があったようでラベルも新しく「江原セレクション ヌーヴェルヴァーグ ~すみれの革命~」となっています。
「ヌーヴェルヴァーグ」と聞くと私は世代的に大島渚監督や篠田正浩監督、吉田喜重監督を思い出してしますのですが、そうじゃありません。
ビオラの「新しい波」のことです。裏面はこの品種(系統)の説明。まさしくその通りの品種です!!
株はコンパクトで花立ちがいっぱいのポットパフォーマンス。秋からその特徴を発揮しています。
花の大きさは4cmくらいの大きさでまとまっています。
他の育種家と違ってひとつの花形、花色の追求ではなく、花の多様性、集団のとしてのビオラの変異性の追求がひとつの目標ですのでひとつとして同じ花はありません。
それらの変異の美の一部をご紹介しましょう!
本当に様々な色目がありますが、それが生産株の数だけあるのですからいかに凄いかがお分かりになるでしょう!
その花の変異性もすごいのですが、本当にすごいのはその育成過程。
これらの変異は30年前の市販品種のみの交雑から導き出されてきたもの。
一言で30年と言いますが、30年といえば生まれた子供が結婚して子供が生まれているような時間です。
最初の交配以降、一切の園芸種の原種、園芸品種の血は入っていないのです。そのある意味隔離された状態で進化したものなんです。
日本各地には伝統野菜があります。これらは長い歴史の中で園芸品種と交わることなくその土地土地で進化して来たもの。その土地土地の人たちが種をつないできたものです。
それは文化であり、伝統です。それが、いかに貴重なものであるかは皆さんお分かりでしょう。
いわば、江原さんの系統はこの伝統野菜のような存在だと考えます。
それを江原さんはひとりでやってきた。そしてこれからもやり続ける。強い意志なくしてこれはできません。これが、私が江原さんの花を「信念の花」と呼ぶ所以です。
個人的な見解を言わせてもらえばサブタイトルの「すみれの革命」は「革命」ではなくて「伝統」。日本の個人育種家の新しい「伝統」、江原さんの作り出した「新しい伝統」(nouvelle tradition:ヌーヴェルトラディシォン)だと思います。
この遺伝子の貴重さを分かって欲しいです。
また、種苗会社の通販を通して種を出されていますが、育種家が不特定多数の方に自分の種子を出すことはまずありません。
ですから、私なりにこれはこの伝統をつなげて欲しいという江原さんの強い気持ちのような気がしてなりません。
どうぞ、皆さん、この新しい伝統を手にとってその貴重さを体験して欲しいと思います。また、遺伝子を繋げて欲しいと思います。
今回はパンジー・ビオラ解説者のROKAが現地よりお送りしました!(笑)