まだ開花宣言は出ていませんが、あちこちでソメイヨシノの花をちらちら見かけるようになりました。
すでにお隣の鹿児島、熊本では開花宣言がありましたので、宮崎ももうすぐでしょう。まさしく春になりました!
さて、パンジー・ビオラ界の大御所、早野雪枝さんから貴重な原種を分けていただきました。
ビオラ・グリセバチアナ
バルカン半島原産の原種です。ややパープルを帯びたブルーの花色。茎葉は無毛で横に広がります。
今回、よく観察してみると、「距(きょ)」が通常の原種とし違って長めです。この長さはコルヌータに似ています。
以前も分けてもらったことがあるのですが、だいぶ遅くそなってからでした。暑いくらいの気温のため、弱っり気味で、何とか採種はできたのですが、発芽せず絶えてしまったのでした。
今回は、まだまだ株が元気なので可能な限り採種したいです。


ビオラ・ドビュヤナ
イタリアのアルプス原産。大きな花の原種です。夏越しをした株から採種して育苗したものとのこと。
これも以前分けてもらったのですが、グリセバチアナと同様で発芽に至りませんでした。
以前の花はもっと細くて小さいイメージがあるのですが、今回はコルシカと間違えるくらいにそっくりです。
コルシカ、ベルトロニーこれらは非常に似たグループで判別が難しいです。
ビオラ・ストジャノウィ
バルカン半島原産の原種です。レモンイエローの極小輪、茎葉に産毛が顕著で横に這います。97年の種から育苗した株とのこと。
以上、3点を分けていただきました。
どれも貴重な原種で、まだ上の2種は本格的に育種には利用されていません。ですから、これは是非とも使ってみたいですね。
さてさて、原種ついでに私が維持している原種と原種同士の交配系統をご紹介!
ビオラ・ベルトロニー
外国から種子で導入したものです。ね、ドビュヤナと似ているでしょう?
個体差もあるのかもしれませんが、ベルトロニーの方が葉は細めで産毛が目立ちます。
左:ドビュヤナ、右:ベルトロニー
画像では色目が同じですがベルトロニーの方がよりパープル味を帯びています。
ベルトロニーには唇弁にノッチと呼ばれるくさび形の切れ込みがあると資料には書かれていますが、あるようなないような・・・。それがはっきりと確認できません。
いやー、判別って本当に難しいですね。
以下が原種同士の交配。ストジャノウィ×アルベンシスの後代です。
ストジャアル Å系
白からブルーのチェンジングカラーの極々小輪。這性で葉には産毛があります。
この2種を交配したらこうなるだろなと、イメージそのものの系統です。
ストジャノウィとアルベンシスの交配ですから、まんま呼び名は「ストジャアル」としています(笑)。
原種同士の交配だからこれで固まるかと思いきや、さにあらず!F2以降違ったものが分離してきました!
ストジャアル B系
クリームホワイトの極々小輪。葉に産毛はほとんど目立ちません。這性ではなくやや立性。
ストジャアル C系
ホワイトからかすかにブルーのチェンジング、極々小輪。這性傾向、産毛は目立たず。ステムが長い。
これらの3系統、花は同じ感じですが株の形状が全く違います。原種同士の交配の後代なんですよ。それからの変化ってあまりないのが通常じゃありません?
でも、この時点でこれだけの変化が・・・。全く不思議!
でも、要はこういうことかと・・・。つまり、この変化の多様性が現在の品種の多様性に繋がっているですよ、きっと!
私の育種の原点はアルベンシス(原種)の利用。せっかく原種がそろったのですから、今回は原点回帰で交配に使って行こうと考えています。