年度末ですね。何かと忙しくてブログの更新もままなりません。と、明日からは新年度じゃあ~りませんか!時が過ぎるのは早いもんです(笑)。
さて、パンジー・ビオラだけでなく、最近はプリムラも交配を行っています。
前々から言っていますが、目標は最初から決まっていて「日本サクラソウ」みたいな風情を持ったプリムラです。
まずは「ステムを立てる」ことから始めなければなりません。現在の品種はアコーリスタイプばっかりですから。
それに再度プ・ジュリエ、プ・ベリス、プ・ブルガリスの原種との交配を試みました。行き詰った時には「原種に返れ」ですから(笑)。
また、プ・エラティオール原種系の品種、古品種の‘ゴールドレース’も使いました。「古品種にも戻れです」からね(笑)。
これらの原種、古品種を相互に交配。それと現在の種苗会社さんの品種、諸先輩方のアコーリスの品種の中にあるわずかなステム立ちの個体を拾い上げて交配を試みました。
現在はそのステム立ちタイプの同士の交配にシフトしています。
種まきにご協力いただいた生産者の方々のおかげで、ようやくそのイメージが具体化してきました。
その昨年の株を地植えにしたところ、かなりの株が残り花が咲いてきています。
地植えの状態。
盛りをわずかにすぎました。かなりの大雨が降ったのですが、ほとんどの株で花に異常なし。これは原種の血が再び入ったせいかもしれません。
ただ、バッタの幼虫が孵って食害が始まっています。
プリムラ・ジュリエ
アコーリスタイプの原種です。
原種なんて入手が難しいと思われがちですが、園芸店の山野草コーナーで「深山サクラソウ」の名前でよく販売されているのがこれ!
ノーマルタイプとホースインホース(二重咲き)タイプがあり、「ロゼア」と間違って販売されていることもあります。
ジュリエ交配種。
原種のジュリエの形質が強く出ている個体群。簡単に言えば「ステム立ちのジュリエ」でしょうか?
何も説明がなければ、原種そのものと勘違いされるかもしれません(笑)。
花は1.5cm前後の極小輪。極小輪系はまだほとんどありませんので、新しい分野になりそうです。
ブルガリス交配種。
ブルガリスの形質が出ている個体です。原種自体の花色はプリムローズでアコーリスタイプ。
この原種を使うと花付はよくなる半面、葉っぱが大きくなる傾向が見られます。花のピコティーはゴールドレースから来ています。
エラティオール、ベリス交配種。
原種はどちらもステムが立ちます。ですからステムを立たせたいならこれを使うのがベスト!
サカタさんの「アラカルト」はプ・ベリスの血を入れた交配種ですが、園芸種と交配してもすぐすぐあんな感じになるもんじゃありません。
画像はそのアラカルトにそっくりですが、実物はもっと花が小さく、丈も低いものです。
これをもっと理想形に持っていこうとするとアラカルトになっていくんだと思います。
ゴールドレース交配種。
ゴールドレースは様々な系統品種がありますが、使ったのは原初タイプに近いものです。
原初タイプは極小輪で一茎の輪数も少なく、葉っぱとのバランスもあまりよくありません。でも、その素朴さがいい感じ!
最大の特徴の「覆輪(ピコティ)」はよく伝わり、現在のピコティの多くの品種はここに由来すると考えられます。
上の個体を見てください。
イエローとパープル(ローズ)の交配ではパープルの色をイエローが隠しているような色の発色傾向があります。
ジェシカ交配種。
‘ジェシカ’は銅葉の品種で、様々な色があります。形質ではアコーリスからステム立ちが混ざっています。当然、使ったのはステム立ちの個体。
銅葉は生育が遅いので葉も大きくならないのですが、それを利用して葉っぱを小さくするにはジェシカを使うと効果的な気がします。
系統不明になってしまった個体。
花色は淡いラベンダー、完成品ではありませんがその雰囲気に何かしら惹かれる個体です。
園芸種交配種。
外国の品種の血を強く引く個体。日本サクラソウの雰囲気ではないですが、これはこれで魅力的です。
大輪系。
3.5cm前後の大輪で、かすれた感じのいいな花色のものが出ています。が、茎が太い。
ステム立ちが出来たら、今度は茎を補足することを始めなければなりません。この特徴を変えるだけでぐっと雰囲気が変わるのが不思議です。
で、イメージに近いものがこちら!
渋系です。
茶ベージュ?表現が難しい色合いですが、これが何とも言えず魅力的!
こちらも渋系。
これもローズをイエローが覆っているような発色!いい色合いです!
茎も細くて桜弁の小輪、おまけに葉っぱも大きい。
ね、だいぶ日本サクラソウに近づいてきた思いません?
育種とはこの一株を求めるために交配を繰り返すことかもしれません。
この一株で「日本サクラソウをプリムラ・ポリアンサで再現する試み」はぐっと具体性を帯びてきました!!