作品展についてのブログも今回で最終回。ようやくここまで来ました!(笑)
最終回は、この金屏風の展示についてです。
平成の時代に、パンジー・ビオラはの日本人の花になりました。どういうことかと言うと、日本人の“美意識”が反映された花が誕生したということです。
それは、どのようなものかと言うと、「価値がない」と思われていたものに積極的に価値を見出したということ。
これは「侘び」、「寂び」にも繋がる日本文化の基礎をなすものです。
災害の多い日本では、幸福な日々も災いによって一瞬に崩れてしまう。それは続かないもの(無常)、人生は侘しいもの、そして寂しいもの。
だったら、このひと時を精一杯楽しもう、この出会いを大切にしよう。それが、一期一会。
桜も散るから美しい。まるで人生、それが、もののあわれ。
そんな視点で見渡せば、この世には無駄なものなどありません。すべてのものに価値がある。それに気づいていないだけ。
金しべ
酒吞(しゅてん)
本来、「焼け」は悪い(使えない)とされていた形質。でも、磨き上げることで、パンジー・ビオラに「銀色」を取り入れることが出来ました。
間違いなく、日本人でしか拾えなかった形質です。
そして、この花を「渋くていいわあ」、「お見事!」と、評価できる皆さんがいる。この評価できる皆さんがいることが、とても重要なのです。
これは、作者の独りよがりでなくて、共通するイメージ(美意識)がそこにあるということ。
向着明天(仮名)
イメージが違うかもしれませんが、大牟田さんの系統。仮名はMISIAさんのファンなら分かるでしょう(笑)。
青染みも「色が汚い」、「寒い印象を受ける」と、良くないとされてきたもの。
しかし、反転するとこれまでにない色の深みが見えてきます。
オーララ!
大牟田さんの反転咲きの多弁咲き個体。
パンジーの本来の美は、整った形。それを目的に育種選抜が始まりました。
ですので、花弁の乱れの多弁咲きも反転咲きも良し(美)とはされなかった。それが、パンジーと共にやってきた美の基準。
多弁咲きも反転咲きも日本で誕生(確立)した花型です。でも、それを美しいと感じる皆さんがいる。
なぜなら、それが日本人の美意識だからです。
そして、これら日本人の花になったパンジー・ビオラをどのように証明したらいいか、どのようにしたらその美を最大限に引き出せるかを考えたところ、日本の様式に当てはめればいいのではないかとの考えに至りました。
金屏風に緋毛氈は、日本のハレの様式。そして、植えている鉢は日本の古典園芸植物の様式です。
違和感は全くないと思います。むしろ、ぴったりとはまっています!
アサガオやキクは、誰しも日本の花と思うでしょう。しかし、これらははるか昔に海外からやってきたもの。それが長い年月をかけて日本人の花になっていったのです。
パンジー・ビオラも幕末に日本に入ってきて、平成の時代に日本人の花になりました。アサガオやキクと同様の花になったのです。
つまりは床の間に飾ってもいい花になったということ。
この展示を見て頂けばそのことが実感できると思います!
さてさて、第14回パンジー・ビオラ作品展について長い長いブログにお付き合いくださいましてありがとうございました。
作品展の雰囲気がより伝わっていたら幸いです。
次回は、より想いの詰まった作品が集まると思います。やはり、実物を見て頂きたい!
そんな状況になっていることをイメージしていきましょう!!
これからは、これまでどおりの週に1~2回(主に月曜日と金曜日)の更新に戻ります。またお付き合いくださいませ(笑)。