だいぶ寒くなってきた宮崎です。平地でも木の葉が色づいて散るようになりました。
皆さん、パンジー・ビオラに集中しすぎっ!アクセス数が急激に上がってホント熱くなりすぎですよ~。
クールダウンを図って今回はリコリスの話題。これでだいぶ皆さん落ち着かれるでしょう(笑)。
栃の葉書房さんの山野草マニアックスで連載していた「リコリス憑き」、3回の連載、終了しました。ほっと一息つけました(笑)。
山野草マニアックスNO.37
その壱は「実生新花と遺伝性」
その弐は「オーレアやトラウビなどの黄色のリコリスの判別法」
そして、今回のその参は「中国産スプレンゲリーの変異」
と、テーマを絞って書かせていただきました。
現在、リコリスの球根は中国やインドから大量に輸入されています。
オーレアなどの黄色の種類はその変異がさほどありませんが、スプレンゲリーにはかなりの変異がありますので今回はそのことを中心に紹介させていただきました。
すごいのはその画像の数。約150個体の画像を並べさせてもらいました!
「(この数に)びっくりした!!」との感想をいただきましたが、まさしくびっくりしてもらうのが今回のテーマです。から、見事にその通りになったとうことですね。やりましたっ!!(笑)
個体の変化も然ることながら、優秀な親株となりそうな個体がいっぱいあります。
この原種の変異というのが育種の上ではとても貴重な遺伝子で、すべての園芸植物の広がりの元になっています。
ともかく、リコリスはまだまだ分類の研究が進んでいません。特に中国ではそうなのです。
さて、引用・参考資料まで目を通す方は少ないと思いますが、今回は変わったな資料を引用しました。
それは「病院坂の首縊りの家」の脚本(シナリオ)です。これは市川崑監督、大ヒットした金田一耕助映画の最終の5作目になります。
この映画は金田一が老推理作家のもとを訪ねてくるところから始まります。
オープニングの場面設定は探偵小説の定番で、「この場面設定を一度は使いたい」・・・。これをずーっと思っていたのです(笑)。
「リコリス憑き」はリコリスの魅力にとりつかれた人物のモノローグ(独り語り)で展開します。
ちょっとひねった構成で研究レポートとイメージを混在。
ドキュメンタリーに再現イメージを入れ込む番組作りを紙面でやってみたかったのですが、書き終えてみれば研究レポートを縦糸に、イメージを横糸に、実と虚で妖しげなリコリスの世界観が微妙なバランスで織り上げられたような気がします。
イメージは虚と言っても、実体験や見た夢、リコリスの資料、資料の中の写真からイメージを膨らませています。そして、研究レポートの実が引き立つように“演出”を加えています。
各章ごとに色のイメージ(その壱は赤→青、その弐は黄色、その参は桃青)を決め、その色のイメージの言葉を散りばめました。
また、リコリスには生えている場所や日本への渡来に“水”にイメージがありますので、そんなシーンを用意しました。
うまく伝わらないかもしれませんが、いろいろ考えて結構細かいことは裏でやっているんですよ(笑)。
で、この独り語りの人物が訪ねていくのは、植物をこよなく愛し、また育種もやっていると思われる人物です。
この人物が何者なのか、すぐにお分かりになる方も多いと思います。そう、現在の育種家のお歴々に影響を与えている故平尾秀一先生です。
リコリスの歴史、資料を調べていくと平尾先生の存在が浮かび上がってきます。その存在の偉大さ、その貢献度!現在のリコリスの品種のほとんどの品種は先生の作出なのです。
しかし、残念ながら私は先生とお会いすることはできませんでした。
そこで資料を元に平尾先生らしき人物を造形して語りの人物と対峙させてみました。
すると、どうでしょう!最初の場面設定しか考えていなかったのが、その先生から種をもらって号泣するというラストにいきなり結びついてしまいました。
物語の人物が動き出すとはこのことでしょう。
なぜ、号泣するのか私もよくわかりません。ただ、リコリスに限らず、植物を愛し、種を蒔き続けている方には共感してもらえるような気がします。
最終回はドラマ過剰になりましたが、よろしければ読んでいただけると幸いです。
そして、資料が盛り沢山。
実際に現地視察をされた横山園芸の横山暁さんにも記事を書いてもらいました。
園芸ニュースレターに書かれていたものを修正加筆していただいたもので、多くの方の目に触れる場所に貴重な資料を置けたと思っています。
横山さん、お忙しい中本当にありがとうございました。
「リコリス憑き~妖しきそれは魅惑の花~」。リコリスに興味のある方は手に取って見て頂けたらありがたいです。
栃の葉書房さん
⇒http://www.tochinoha-shobo.com/
リコリスに興味を持っていただける方が、どうぞ増えますように!!